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センバツ主役を狙うスラッガー「BIG3」
安田尚憲(履正社高・内野手) 究極の逆方向への引っ張り



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取材・文=谷上史朗、写真=毛受亮介


センバツでは大会初日の第2試合で四番・金成麗生を擁する日大三高と対戦。「大砲対決」に注目が集まる

冬場に消化した明確な3つの課題

 履正社高の今季初戦は対外試合解禁日の翌3月9日、滝川二高(兵庫)とのダブルヘッダーとなった。履正社高のグラウンドにはソフトバンク、阪神、オリックスらNPB5球団のスカウトが集合。注目の第1試合。三番・三塁で出場の安田尚憲は左邪飛、二ゴロ、死球、一ゴロ、左前適時打。サヨナラ負けとなった戦いの後、記者に囲まれると「自分の中では(タイミングが)合っていると思っていたのに打ち損じが多くて。ここから修正していきたい」と初戦の打撃を振り返った。

 例年、履正社高は冬場も紅白戦を継続して行っているが、今年は12月に大阪選抜として多くの選手が台湾へ遠征。さらに週末に天候不良も多く、紅白戦はわずか2試合しか行えなかった。そこで「1、2打席目は力んだというより、久しぶりの試合でいつもと少し感覚も違うところがあった」という結果でもあったようだ。それでもシーズンの開幕に手応えを感じている。秋以降、明確な取り組みが3つあった。1つは肉体面の強化。脂肪を控えタンパク質を多く摂る食事とトレーニングの組み合わせで、鍛えながら秋より体重がアップ。95キロ前後をキープしてのシーズンインとなった。

 2つ目は履正社野球の土台でもある守備、走塁のレベルアップ。副主将でもあり“打つ以外”の面に意欲的に取り組み姿勢で示してきた。そして3つ目が逆方向への打球をテーマに取り組んできた打力。これらにも注目し、引き続き出場した第2試合は主将・若林将平がセンバツ抽選日前日の「キャプテントーク」で欠場のため、四番に座った。しかし、相手投手の制球も定まらず、四球、四球、右飛、四球、四球。守備で失策、走塁でも集中力を欠き、ベンチから声が飛ばされる場面も。すべてにおいて、実戦から遠ざかる“まだ初日”という内容で前日、いきなりの場外弾を放って、大きな話題を振りまいた早実・清宮幸太郎のような幕開けとはならなかった。

ヤクルトのドラ1が絶賛する「成長率」

 2試合目が終わり、練習に入るところで、清宮の一発について水を向けてみた。すると安田から思わぬ反応が返ってきた。「打ったんですか?」。うなずくと「昨日ですか?」。実は履正社高はこの日を最終日とし2泊3日の合宿をグラウンド脇のクラブハウスも利用し行っており、その間、選手は携帯電話の所有は禁止。“清宮79号”のニュースを知らなかったのだ。ただ、清宮のすごさは誰よりも安田自身が感じており、初戦での一発にもそれ以上の感想を口にすることはなかった。何より、頭はセンバツに集中している。この翌日、組み合わせ抽選会が行われ初戦の相手が日大三高に決まった。相手エースは昨秋の東京大会決勝で、清宮から5打席連続三振を奪い、話題にもなった好左腕・櫻井周斗。ここでまた清宮との対比で語られる場面が出てきそうだが、元来、左投手を苦にするタイプではない。昨年の“引退後”に国体用の調整も兼ね後輩相手に投げていた先輩左腕の現東京ヤクルト・寺島成輝が語りかけてきたことがあった。

「安田の成長はヤバいですね。あいつには本気で投げても結構、打たれましたから。左も全然普通に打ちますし、短期間で本当、成長しています」

人には持っていない飛ばす力にスカウト注目

 成長過程の中で逆方向の打球にも取り組んできたが、対左腕を考えたときの成果にも期待がふくらむ。ただ、取材日に確認すると「最近は打席での意識は強くセンターに持つようになりました」と言った。1月末にオリックス・T-岡田が母校の練習を訪ねた際、「そこまで逆方向を意識しなくていいんじゃないか。持ち味が消えたら意味がない」と関係者に話した。その言葉を伝え聞いた安田は、「今はヘッドがセンター方向へ抜けるフォロースルーをイメージしています」。試行錯誤を繰り返す安田に、プロのスカウトも期待を込める。

「あらためてあれだけ飛ばせる力は魅力。プロの現場は人にないものを持っている選手を……と求めることも多い。そのランクの選手です」(オリックス谷口悦司スカウト)。あとは注目される中で何を見せるか。センバツ初戦の相手が決まると、安田は招待試合で沖縄へ向かい、帰阪したときには開幕目前。社高(兵庫)、鳥羽高(京都)との練習試合を行い、大会初日、第2試合の日大三高戦へ向かう。

「本番は甲子園。今日1日の中でも感覚が戻ってきたので、甲子園にはベストな状態に持っていって、全員で日本一を取りにいきたい」

 そう言って“開幕日”を締めくくった安田。高校通算本塁打は昨秋から2本積み重ねて47本(3月12日現在)。沖縄では特大弾を放ち調子を上げ、いよいよラストイヤーが幕を開けた。

指揮官の目 岡田龍生(監督)


「打撃練習を見ていても冬を越してのレベルアップを感じます。逆方向の打球が増えてきたことも1つですが、あくまで流すのではなく逆方向でも引っ張ったような打球を、と求めていました。本来のスイングをした結果、投球のコースによって左方向にも飛ぶというのが理想。その意味で目指すべき打球が出始めていると思います。ここからは気持ちよくスイングできるようなコースにはなかなか来なくなるでしょう。ダメ元でインコースへ厳しくきたり、歩かせてもいいという攻めも多くなる。その中でまれに混じってくる好球をいかに一発で仕留めるか。これは岡田にもよく言いましたが打ち損じを少なくというより、なくすぐらいの気持ちでいく。今年はそういう打撃が求められることになるでしょう」


バットだけでなく「大型三塁手」としてもスカウトから高評価を受ける

PROFILE
やすだ・ひさのり●1999年4月15日生まれ。大阪府吹田市出身。188cm92kg。右投左打。豊津第一小1年時、豊津東少年野球団で野球を始める。小学6年時には阪神Jrに選抜。豊津中では赤星憲広氏が代表を務めるレッドスターベースボールクラブ(硬式で各連盟無所属)でプレー。履正社高では1年秋から主に五番・三塁。2年春は四番、同夏は打率.600、2本塁打、15打点で甲子園出場。秋は三番で大阪大会準優勝、近畿大会優勝、明治神宮大会優勝。


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