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MAX155キロの「投げる研究者」
中日1位 福谷浩司[慶大]



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MAX155キロの「投げる研究者」
地元・愛知県出身の「浅尾2世」は理系の顔を持つ「学者」投手
取材・文=落合修一 写真=椛本結城

 中日が1位に単独指名したのは、地元出身の慶大・福谷浩司だ。

 知多市立東部中時代は名古屋緑シャークボーイズでプレーし、愛知県立横須賀高へ進学という経歴は、純粋培養された愛知県人の証し。中日ファンを公言しており、中日にとっても大事なご当地選手。地元球団との“相思相愛”を実らせた形だが、福谷本人は「地元に住んでいたころよりも、大学進学のために上京してから客観的に見られるようになりました。中日は地域色が強いチームで、指名されて光栄。地元のチームに指名されて、今までお世話になった方々に感謝しやすくなる」と言う。

 福谷にはもう一つの顔がある。慶大理工学部電子工学科に在籍中という、バリバリの「理系学生」であることだ。野球以外では研究活動のために多忙な日々を送っており、現在執筆中の卒業論文は「投球動作における球の出どころの見づらさの定量化」がテーマで、12月に学会で発表することになった。自らのピッチングをハイスピードカメラで撮影し、データを解析するとか……。

 もちろん研究に明け暮れる理系学生は世の中に多数存在しているが、東京六大学リーグでプレーし、プロからドラフト1位指名されるほどの実力を持つレベルの選手が野球と学業を両立させているのは、極めて異例ではないか。それでも福谷は「よく文武両道と言われるが、そういう意識はない。どっちも全力でやっているだけですから」と涼しい顔だ。モットーは「好きこそ物の上手なれ」。要するに、野球も研究もどちらも好きなのだ。

 慶大の江藤省三監督は「福谷がプロを目指すようになったのは昨年の夏から。それ以前の印象は“学者”。学者が野球をやっているようでした。それが3年の夏に日米大学野球のメンバーに選ばれて、高いレベルの選手たちの中でもまれて、意識が変わったようです。アメリカから帰ってきたと思ったら、『自分はプロを目指します』と宣言したので、こっちがびっくりしました」。「学者」が「野球選手」へと進化した瞬間だった。

「4年前に入学したときは、まさか自分がプロに入るとは思っていなかった」(福谷)


▲「プロに行きたい」と決断した段階で、大学の監督が元プロ野球選手でコーチ経験のある江藤省三氏[右]だったことも大きかったと福谷は言う


 理系である点ばかりが強調されがちだが、野球をする上では、決して理詰め一辺倒というわけではない。「この4年間、ストレートにこだわってきた」というMAX155キロの剛腕は、ボールに気持ちを乗せることを重視している。

 今年はケガに苦しみ、不完全燃焼の一年でもあった。春に右足内転筋を肉離れ、秋の開幕戦では左足首を痛めた。秋季リーグ戦では一度も先発できなかったものの、ストッパーとして復活。本人はプロにおける目標を「同じ知多市の出身でもある浅尾投手。浅尾投手のように、どんな場面でも任せられたら全力でゼロに抑えたい」と意気込む。

 ドラフト会場からそのまま駆けつけた高木守道監督は、「力のあるボールを投げる投手が欲しかった。先発か抑えかはキャンプで見てから考えたいが、1年目から期待している」と福谷を激励。スライダーとチェンジアップ、ツーシームを武器に、中日投手陣の中でしのぎを削ることになりそうだ。

 中日は12球団有数の投手王国でもあるが、江藤監督は「心配していません。競争が厳しい環境の方が、彼は力を発揮するでしょう」。福谷も「どういう立場であろうと、自分がやることは変わりません。体を見つめ直して、全力で投球し、勝負します」。尾張名古屋に、頼もしい右腕が加わった。


▲ドラフト会場から慶大合宿所に駆けつけた高木守道監督[右]と福谷。「外れ1位」ではなく単独入札だったことが、福谷への評価の高さを表している


PROFILE
ふくたに・こうじ●1991年1月9日生まれ。愛知県出身。183cm90kg。右投右打。
愛知県内有数の進学校である横須賀高では、高2夏の県大会4回戦が最高成績。
高卒時にプロ志望届を提出もドラフトにかからず、AO入試で慶大に進学すると、新人戦で145キロを記録するなど鮮烈デビューを飾る。
2年は主にリリーフとしてリーグ優勝に貢献。同年秋は5勝でベストナインに輝く。
昨春は防御率0.56で最優秀防御率のタイトルを獲得。早大2回戦でリーグ最速タイの155キロをマークした。


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